考えるチャンスを与える

考えるチャンスを与える

しかし、成功するためなら手段を選ばないという悪癖があるので、日標を眼前に掲げ、それに向かって邁進しているときは、他者への思いやりの感覚は欠如し、同僚や後輩との間に感情的なトラブルを招きやすい。ことに能力の不足した人間や、自分の感情が足かせになる人間に対して、人は寛容さを示すことができず、不快感を表面に出すので、周囲から反感を抱かれやすい。上司は、他者への思いやりも実力のうちであることを示さなければならない。人に立ち止まって、考えるチャンスを与えないと、成功者としての自己イメージは増長され、「課のため」ア本社のため」と信じ、真の願望を無視し、倒れるまで働いてしまう。楽観的な成功者というイメージに固執する人は、感情に向き合うことを非常に嫌うが、仕事の失敗や病気、左遷などでスローダウンを余儀なくされたとき、否応なしに本当の気持ちと向き合うことになる。

 

これは、彼らにとって、きわめて恐ろしい状況で、立ち直れないほどに打ちのめされる。心ある上司は、人に対して、成功以外にも人生にはたくさんの価値があることを伝える。人の多くは、悩むことが嫌いな自分や、内面に抑え込まれた真の欲求があることを知りながら、認めたがらない自分に気づいている。そして自分の感情と向き合っても、彼らのエネルギーや能力は少しも損なわれないのだ。人との信頼関係を築き、成功への「囚われ」がいかにリスクを背負ったものかを語り、自分の感情との対峙を勧めるなら、人は人間的な魅力を回復し、本当の意味で組織に貢献する有能さを備えることになる。


このページの先頭へ戻る