少数派のリーダー

少数派のリーダー

人は、職務内容と命令系統がはっきりしているとき、忠実な戦士として能力を発揮するが、強い相手に反発するときにも大きなパワーが生まれる。本当の敵が見つかると、人は、恐怖対抗型になり、分の悪い勝負に勇敢に挑むのだ。彼らは、壁際に追いつめられ、生き残るための闘いを強いられると力が湧いてくる。最高の仕事環境の中では成果が得られなくても、苦境の中ですばらしい仕事をしたりする。これは、臆病でガラス細工のようなイメージの人とは、あまりにかけ離れたものだ。

 

彼らは、自分の意思で成功に導くことは苦手だが、厳しい環境の中で他者のために格闘すると意外な能力を発揮するのだ。まさに激戦を闘ってきた兵士のように、彼らは順境より逆境の方が性にあっているのだ。人が上司になると、部下の立場に共感し、犠牲をいとわずにグループの理想に向かって闘うことが多い。部下の誠実さが確認でき、信頼できれば、分の悪い挑戦もできる。その意味で人にとって敵味方という概念は、非常に魅力的で、自分のグループに味方がいると確信できれば、その味方との連帯感や忠誠心でエネルギーを傾注できる。

 

こうした点から言えることは、人が、多数派のリーダーより、少数派のリーダーに向いているということだ。彼ら自身、日の前の成功に比較的無関心で、名声という見返りを期待しないから、多数派のリ―ダーになることは好まない。人の上司をもった場合には、まず誠実であること、そして味方であることを、しっかり意思表示することが望ましい。ただし分の悪い勝負は、時として危険なので、冷静に状況を読み、場合によっては、上司を押しとどめることが必要な場合もある。逆に人の上司は、人の真意を読むことに巧みで、ほめ言葉には懐疑的だ。彼らは、ほめ言葉を簡単には信用せず、賞賛も言葉通りには受け取らない。彼らに表面的な賛辞を贈ることは、不信感の種になりかねない。人は、言説の矛盾を見つけ出すことにも長けているので、首尾一貫した、率直さが何よりの宝に見えるのだ。


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